暑い日も和らぎ、美しい夕日が辺りを柔らかく包み始めていた。ガザ南端のラファでは、日中の熱気を避けていた人々が、通りに繰り出し、けたたましいクラクションや人々の声が響きあい、にぎやかな一時が訪れていた。この日はいつになく人が多い。イスラエル軍と戦っている武装組織の男たちのデモ行進を、人々は見学に来たのだ。
勇ましいスローガンがラウドスピーカーから流れ、戦いを鼓舞する音楽が大音響で響き渡る。そんな中で、お揃いのユニフォームに身を包んだ20歳前後であろう若い男たちが、真剣な面持ちで整列していた。子供たちが彼らを見る目には、明らかに憧れや尊敬の色が見て取れる。 男たちは、イスラエル軍車両などに模した張りぼてに火を放ち、スローガンを叫び、空に向けて銃を撃つ。そして町中を一通り行進していった。 私はその後について歩きながら、絶え間なく続く勇ましいかけ声とは裏腹に、どこか寂しげな哀愁を帯びた男たちの後ろ姿に惹かれた。命を賭して戦っている男たちの後ろ姿は、心なし疲れ、哀しみを帯びているように見えた。それは単に気のせいだったのか、それとも長すぎる解放への道のりに疲れ切った男たちの、わずかに見せた心の奥の本音だったのかもしれない。いずれにしても、彼らの戦いの終わりは見えない。心優しき男たちは、皆の愛と期待を一身に浴びながら、夕闇の彼方に旅立っていくのだ。 #
by crescentadv
| 2005-11-19 01:39
| パレスチナ
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