Uncertain Odyssey


世界叙情記
by crescentadv
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預言者たちの足音

 聖地エルサレムは、不思議な場所である。三大宗教の聖地として、世界でも稀に見る宗教色の強い土地であり、あらゆるモノに神の匂いや預言者の息吹を感じずにはおれない。これほど聖性の強い土地にもかかわらず、実はその地で私は名状しがたい不安や怖れを感じることが多い。神の力が強すぎることによる畏れもあるが、それとはまた違う何かが、私を不安にさせているのだ。
 つい先頃も、エルサレムでパレスチナ人たちとイスラエル警察の衝突があった。これは、イスラームの聖地としてのアルアクサーモスク、岩のドームの敷地のすぐ横を、イスラエル側が発掘調査しようとしたことから始まったものだ。この発掘は、ユダヤ人のこの地に対する継続性を明らかにするためだと思われるが、それによってイスラームの聖地を冒涜し、最悪の場合破壊してしまう恐れがあるために、ムスリムたちは反対しているのだ。
 それぞれが、勝手な解釈で神を信じ、宗教指導者たちや政治家たちの言葉を妄信することにより、まったく相互理解の余地が狭まっている。非常に危険な状態であるのだが、そのことに気がついている人はどれほどいるのだろう。いや、気がついている人は多いが、この流れを止めるすべを知らないのだと思う。もちろん、私にはどうしていいのかわからない。
 私に出来るのは、この地の聖性を、神や預言者たちの息吹を写真に写し撮り、そこにメッセージを託することだけだ。
 かつて、預言者イブラヒーム(アブラハム)が神に息子を捧げようとした場所。預言者イエスが真の神の声を伝えたところ。預言者ムハンマドが天に昇った場所。この地には何か重大なメッセージが隠されており、私たちはそれを理解できないのだ。しかし、多くの狂信的な人々や政治家たちが、それを利用して、都合の良いように解釈している。これからもそうだろう。そして、多くの血が流され続けるのだ。
 様々な思惑が、この地の張りつめた空気を生み出している。そんな場所から離れ、遠くからエルサレムを見渡すとき、そこには数千年の時を経て流れてくる風、匂い、そしてそれ以上の何かがある。それを確かに感じることができる。戦争になるのも、平穏が訪れるのも、すべてがこの地にかかっている。私は、それを感じ、多くの偉大な預言者たちの息吹を感じながら、これからの未来をオリーブの林の向こうに、地中海の遙か彼方に見ている。



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# by crescentadv | 2007-02-18 00:29 | パレスチナ