Uncertain Odyssey


世界叙情記
by crescentadv
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カフカスの哀愁

最後にチェチェンに行ってから、もう5年以上が過ぎ去った。今まで行ってきたところの中でも、チェチェンには、特別な思いを抱いている。もちろん、他の地域にもそれぞれ特別な思いがあるのだが、チェチェンという地域の自然環境の厳しさ(そして美しい!)人々の気高さ、今起きている事態の信じられないほどの過酷さ(神は存在しないのではないかと思うほど)、そして人々の優しさ。
 何よりも、チェチェンという場所とそこに生きる人々は、世界中のほとんどの人の意識から弾き出され、その中で彼らは生きるために戦っている(戦闘だけではなく、生き続けることが戦いだ)。
 チェチェンで会った人々の多くが死んでいったと思う。が、いやだからこそ、あそこにもう一度戻りたいと思う。もちろん、私は彼らに何も出来ないし、彼らも私から何も望んではいないだろう。でも、彼らと一緒にいる時間、その空間は、お互いの距離や民族性の違い、言葉の違いや文化の違いを超越した、何か信頼しあった者だけが相通じあうことが出来る特別な瞬間だと思う。
 地下の防空壕で砲撃の止むのを静かに待っていたあの人たちは、しかしそんな状況におかれていても、その目には希望の光が宿っていた。そして、その希望は決して幻影ではなかったと、そう信じることが出来る日が、遠からず訪れることをまだ私は信じている。
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# by crescentadv | 2005-11-12 00:39 | チェチェン