Uncertain Odyssey


世界叙情記
by crescentadv
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逆光に霞む哀しみ

ガザが地中海に面していて、明るい太陽に照らされ、美しい砂浜が果てまで続いているとはいえ、パレスチナが現在置かれている状況に変化をもたらすものではない。人々には、癒しようのない哀しみもあるのは間違いなく、それは長い時間と楽園的な自然状況、そして周囲の人々の支えがあって、少しずつ癒されていくものだと思う。
 ガザ最南端のラファを昨年訪ねたとき、何度も歩いたエジプト国境沿いの通りにさしかかると、一人の男が私と、同行していたパレスチナ人に向かって何か言いがかりをつけてきた。私の友人と口論になり、男は突然ピストルを抜くと、こちらに突きつけ怒鳴りだした。私の友人も負けずに何かを言っている。相手の男の家族らも出てきて、その場は収まった。
 後で聞くと、その男の兄が最近イスラエル軍に射殺されたのだという。彼は、私やその他の外国人が来るのを、度々見ており、またそれを憤りを持って見ていたのだという。その気持ちは、まったく正しいと思うし、私がどんなに彼らが好きで、彼らを家族のように感じていようとも、所詮外国人でありよそ者だということだ。ましてや、ここに来るほとんどの外国人は、金儲けの為に、ニュースの為に、興味本位で来ているのだから、彼らにどう思われようと仕方がない。
 後でその男が友人宅を訪ねてきた。話し合い、最後は抱擁して別れた。彼に私はとても親近感を覚え、また彼も私のことを友人から聞いて、意外そうな顔をして、はにかんでいた。腰にピストルは持ってはいたが。
 パレスチナの眩しい太陽の裏には、そういう人々のやりきれない気持ちもが、昇華されずに漂っている。そういうところまでも感じて、それと、さらにその先を写真に表現していきたいと思っている。
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by crescentadv | 2006-01-24 13:49 | パレスチナ

路上の光景

カルバラからバグダードに向かう道は、今では大変危険な道になってしまった。とはいえ、ほんの一年少し前には、まだ通ることができたし、そこにはのどかなイラクの風景が、眼前に静かに拡がっていた。
 ちょうど、シーア派の最大の祭りである、アシューラーの時期だった。カルバラのアル・フセインモスク周辺には、たくさんの巡礼者が集っていた。イランからの巡礼も多く、街は興奮の渦に包まれていた。カルバラを後にしてバグダードへの途上で、人通りの少ない国道沿いにいくつかの土産物屋がひっそりとあった。棗椰子の葉で編んだ帽子や小物入れ、それに各種ドリンクや簡単なスナックを売っていた。が、もちろん地元の人でもあまり通っている気配もなく、店番の少年は、暇そうに横になっていた。私を見て駆け寄ってきたが、買いそうもないと悟るや、すぐに店番に戻っていった。暑い午後の一時であった。イラクというと、どうしても戦乱のイメージが強いのだが、私が思い浮かべる光景はこういった静かなものが多い。また、これらが本来のイラクの姿だと思うし、これこそが長い間続いてきたこの地域の暮らしや空気を伝えている真実だとも思う。あまり冷えていないコーラを飲み、焼けるような空と連なる棗椰子の林を眺め、私は一路バグダードを目指したのだった。
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by crescentadv | 2006-01-03 23:06 | イラク