Uncertain Odyssey


世界叙情記
by crescentadv
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カテゴリ:パレスチナ( 13 )


漁師たちの憂鬱

パレスチナは、公式に土地を失って以来初めての、大きな目に見える変化の時を迎えている。ガザからイスラエル軍とユダヤ人入植地が撤退し、先頃エジプトとの国境も再開。はじめてパレスチナ警察が国境の任務に就いたという。何もかも良いことづくめのようだが、実際にはそういう政治的、経済的な動きの展望はあまり楽観的にはなれないように感じる。
 パレスチナに限らず、地球上に生きている人々は、自分たちの受け継がれた文化、生活を維持しながらも、世界との付き合い方も考えないといけない。パレスチナの人々は、より以上にそういうプレッシャーがある。彼らの戦いが世界中でも有名な戦いとなり、それは単に戦争に勝つ(あるいは負ける)ことだけでは済まされず、彼らは常に世界の中のパレスチナという立場を強制されてきた。少なくとも対外的にはそうだったし、これからもそうだろう。でも、そういう側面は政治家や著名なパレスチナ人の担当で、私はごく普通のパレスチナ人たちと接し、彼らの気持ちを感じたいと思っている。
 ちょうどアラファートが亡くなった頃、私はガザにいて、家を破壊された友人や、ガザ市内のホテルの前のビーチで、毎日網を打っていた漁師たちと話していた。彼らの多くは、世界中のメディアを騒がしていることにほとんど無関心(あるいはそれを装っていた)、日々の生活のことや、ことに漁の水揚げが芳しくないことを気に病んでいた。しかし、これも沖合にイスラエル軍の船が巡回し、パレスチナ人の漁師たちが沖に出ることが出来ないからで、つまり人為的な障害の結果である。努めて明るく振る舞い、仲間たちとふざけてはしゃぐ彼らだが、作業の合間にふと見せる仕草や後ろ姿は、そのときのガザの雰囲気とも相まって、どこか悲哀を漂わせているように感じた。もちろん、生活に必死である彼ら自身は、そんなことに感じ入っている余裕はないのだろうが。
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by crescentadv | 2005-12-01 21:30 | パレスチナ

夕日に映える静かなる情景

暑い日も和らぎ、美しい夕日が辺りを柔らかく包み始めていた。ガザ南端のラファでは、日中の熱気を避けていた人々が、通りに繰り出し、けたたましいクラクションや人々の声が響きあい、にぎやかな一時が訪れていた。この日はいつになく人が多い。イスラエル軍と戦っている武装組織の男たちのデモ行進を、人々は見学に来たのだ。
 勇ましいスローガンがラウドスピーカーから流れ、戦いを鼓舞する音楽が大音響で響き渡る。そんな中で、お揃いのユニフォームに身を包んだ20歳前後であろう若い男たちが、真剣な面持ちで整列していた。子供たちが彼らを見る目には、明らかに憧れや尊敬の色が見て取れる。
 男たちは、イスラエル軍車両などに模した張りぼてに火を放ち、スローガンを叫び、空に向けて銃を撃つ。そして町中を一通り行進していった。
 私はその後について歩きながら、絶え間なく続く勇ましいかけ声とは裏腹に、どこか寂しげな哀愁を帯びた男たちの後ろ姿に惹かれた。命を賭して戦っている男たちの後ろ姿は、心なし疲れ、哀しみを帯びているように見えた。それは単に気のせいだったのか、それとも長すぎる解放への道のりに疲れ切った男たちの、わずかに見せた心の奥の本音だったのかもしれない。いずれにしても、彼らの戦いの終わりは見えない。心優しき男たちは、皆の愛と期待を一身に浴びながら、夕闇の彼方に旅立っていくのだ。
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by crescentadv | 2005-11-19 01:39 | パレスチナ

新たなる旅立ち

新たに、写真入りのブログを立ち上げることにした。
深い理由はないのだが、やはり写真家である以上、写真で何かを伝え、表現していくことが
当たり前でもあると考えたのだ。
 自分が今まで15年以上の閒に世界中を彷徨い、たくさんの戦場や辺地や種々雑多なところに行き、多くの写真を撮影してきた。そういう中から、ランダムに写真を選び、その写真に対応した、あるいは単にそのときに想っていることなどを書きつづっていきたい。そういうことで、いろいろな伝えられ方をしている場所、あるいは伝えられていない場所に対しての、自分の立場を表せると想うし、またそうすることがアル意味必要だとも思っていることが、既存の媒体では伝えられなくとも、ここでは自由に表現できると思う。
 タイトル写真と同じ写真を、まず使うことから始めたい。
パレスチナのガザで、今年の夏に撮影した写真。ガザは本当に美しいところ。活力ある、夢も希望も持った人々が、一生懸命に生きているところだ。ネガティブなイメージが先行しがちだが、実際ここに行くと、生きるパワーを分けてもらえる。私は、彼の地に行ったことで、生き続ける意志がより強まった。この人たちの別の側面を、少しでも伝えていきたいし、その美しい自然や文化なども少しでもリアルに感じて欲しい。
 ガザの美しい夕日を前に、人々は様々な思いに駆られ、しかし誰もが未来を見据えている。そんなところに、多くの人々が思いを馳せ、視線の彼方に彼の地を感じて欲しいと思う。
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by crescentadv | 2005-11-10 20:15 | パレスチナ