Uncertain Odyssey


世界叙情記
by crescentadv
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2005年 12月 01日 ( 1 )


漁師たちの憂鬱

パレスチナは、公式に土地を失って以来初めての、大きな目に見える変化の時を迎えている。ガザからイスラエル軍とユダヤ人入植地が撤退し、先頃エジプトとの国境も再開。はじめてパレスチナ警察が国境の任務に就いたという。何もかも良いことづくめのようだが、実際にはそういう政治的、経済的な動きの展望はあまり楽観的にはなれないように感じる。
 パレスチナに限らず、地球上に生きている人々は、自分たちの受け継がれた文化、生活を維持しながらも、世界との付き合い方も考えないといけない。パレスチナの人々は、より以上にそういうプレッシャーがある。彼らの戦いが世界中でも有名な戦いとなり、それは単に戦争に勝つ(あるいは負ける)ことだけでは済まされず、彼らは常に世界の中のパレスチナという立場を強制されてきた。少なくとも対外的にはそうだったし、これからもそうだろう。でも、そういう側面は政治家や著名なパレスチナ人の担当で、私はごく普通のパレスチナ人たちと接し、彼らの気持ちを感じたいと思っている。
 ちょうどアラファートが亡くなった頃、私はガザにいて、家を破壊された友人や、ガザ市内のホテルの前のビーチで、毎日網を打っていた漁師たちと話していた。彼らの多くは、世界中のメディアを騒がしていることにほとんど無関心(あるいはそれを装っていた)、日々の生活のことや、ことに漁の水揚げが芳しくないことを気に病んでいた。しかし、これも沖合にイスラエル軍の船が巡回し、パレスチナ人の漁師たちが沖に出ることが出来ないからで、つまり人為的な障害の結果である。努めて明るく振る舞い、仲間たちとふざけてはしゃぐ彼らだが、作業の合間にふと見せる仕草や後ろ姿は、そのときのガザの雰囲気とも相まって、どこか悲哀を漂わせているように感じた。もちろん、生活に必死である彼ら自身は、そんなことに感じ入っている余裕はないのだろうが。
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by crescentadv | 2005-12-01 21:30 | パレスチナ