Uncertain Odyssey


世界叙情記
by crescentadv
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路上の光景

カルバラからバグダードに向かう道は、今では大変危険な道になってしまった。とはいえ、ほんの一年少し前には、まだ通ることができたし、そこにはのどかなイラクの風景が、眼前に静かに拡がっていた。
 ちょうど、シーア派の最大の祭りである、アシューラーの時期だった。カルバラのアル・フセインモスク周辺には、たくさんの巡礼者が集っていた。イランからの巡礼も多く、街は興奮の渦に包まれていた。カルバラを後にしてバグダードへの途上で、人通りの少ない国道沿いにいくつかの土産物屋がひっそりとあった。棗椰子の葉で編んだ帽子や小物入れ、それに各種ドリンクや簡単なスナックを売っていた。が、もちろん地元の人でもあまり通っている気配もなく、店番の少年は、暇そうに横になっていた。私を見て駆け寄ってきたが、買いそうもないと悟るや、すぐに店番に戻っていった。暑い午後の一時であった。イラクというと、どうしても戦乱のイメージが強いのだが、私が思い浮かべる光景はこういった静かなものが多い。また、これらが本来のイラクの姿だと思うし、これこそが長い間続いてきたこの地域の暮らしや空気を伝えている真実だとも思う。あまり冷えていないコーラを飲み、焼けるような空と連なる棗椰子の林を眺め、私は一路バグダードを目指したのだった。
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by crescentadv | 2006-01-03 23:06 | イラク
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