ソマリアは、90年代初めから実質的な無政府状態が続いているのだが、当初の何年かは激しい戦闘もあり、それに伴う飢餓が起きたりしたものの、この10年ほどはおおむね平穏な状態が続いている。各地は、クラン(氏族)ごとに支配され、治安が保たれていて、物資も概ね行き渡り、首都のモガディシオでは携帯電話を使い、インターネットをやることもあながち突飛でもなくなっている。
モガディシオから北東に行った海沿いのエル・マアンは、自由貿易港だ。白い砂浜と青い海が目に染みる、この美しい港には、世界中から物資が集まってくる。アラブ首長国連邦のドバイや、イエメン、インド、東南アジア諸国などから、米や小麦粉、カート、羊、砂糖等々、ほとんどのものが陸揚げされ、ソマリア各地に輸送されているのだという。 ここで働く男たちも、かなりの重労働だとは思うが、足取りも軽く懸命に働いていた。ここでも武装民兵がパトロールをしていたが、彼らも撮影を拒むこともなく、あまり緊張感はなかった。 撮影から一週間ほどして、アジアでの大地震から津波が発生し、この美しい砂浜にも押し寄せたと聞いた。あの男たちはどうなったのだろう。生きているのだろうか。人為的に引き起こされたことは、人為的にコントロールできるが、津波のような天災は、どうしようもない。神のみぞ知るである。私には、彼らが無事でいるような気がする。そしてまた彼の地を訪れ、彼らと茶を飲みながら語り合いたいと思っている。
by crescentadv
| 2005-11-28 22:15
| アフリカ
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